- そもそもコルトってどんなクルマ?
- コルトRALLIART Version-Rの登場
- さらに進化!Version-R "Special"の登場!
- コルトラリーアートVersion-Rの良いトコロ・悪いトコロ
- コルトラリーアートVersion-Rの前期型、後期型の違い
- コルトRALLIART Version-Rのスペック
そもそもコルトってどんなクルマ?
キャッチコピーは「まじめ まじめ まじめ COLT」
三菱コルトは三菱のコンパクトカーとして2002年11月に発売され、2013年まで販売された息の長いモデルです。当時の三菱自動車はリコール隠しなどの影響により企業イメージが悪化し、それを払拭するためにこのようなキャッチコピーを掲げてコルトを世に送り出します。
まじめなメーカー、三菱をアピール---『コルト』のキャンペーン | レスポンス(Response.jp)
またダイムラー・クライスラーと提携して以後初の新型車ということで、三菱の新しいデザイン・アイデンティティ(いわゆるブーレイ顔)を取り入れ、新世代の三菱をアピールする世界戦略車にもなっています。
コルト発売当時のプレスリリース
プレスリリース | 企業情報・投資家情報 | MITSUBISHI MOTORS
三菱ミラージュディンゴの後継車、ライバルはヴィッツやフィット
事実上のミラージュディンゴの後継車という位置づけのコルト。
https://autoc-one.jp/catalog/mitsubishi/mirage_dingo/25691/
パッケージングやボディカラー、カスタマーフリーチョイス等を見れば、先に発売されたトヨタ・ヴィッツや、ホンダ・フィットを意識したものであることが分かります。ダイムラー・クライスラーと共同で開発したプラットフォームを採用し、国産コンパクトでありながら、欧州車のような、しっかりとした剛性からくる走りの良さが一つの売りでした。カタログでは分からない、乗ってみて初めて気がつくところに力を入れているところはまさにまじめだと言えます。
ライバルに続々とスポーツグレードが登場
フィットにはマニュアルモード付きのCVTを搭載し、リヤディスクブレーキを奢った「1.5T」が登場し、ヴィッツにも1.5リッターの「RS」にターボを搭載した「RSターボ」が登場。「RSターボ」は150ps/6400rpm、20.0kg/4800rpmのパワーを叩き出します。負けじと?三菱もスポーツグレードを登場させます。
コルトラリーアートの登場
2004年10月、ブーレイ顔があまりにも不評だったためこれを廃止します。同時にモータースポーツの名門であるRALLIARTの名を冠したコルトが登場します。搭載される4G15 1.5L MIVECインタークーラーターボエンジンは154ps/6000rpm、18.3kgm/2500rpmを発生。
ラリーアート専用装備として
- 専用チューニングのサスペンションと電動パワーステアリング
- フロントストラットタワーバー
- フロント15インチ&リヤ14インチディスクブレーキ
- 専用15インチアルミホイール
- 大型マフラーカッター(これを収めるために、リヤバンパーを一部カット)
- 大型リヤスポイラー(普通のコルトにもオプションで取付可能)
- フロントグリル、テールゲートのRALLIARTエンブレム
が与えられていますが、エクステリアは控えめで、一見普通のコルトにしか見えません。。
三菱コルトをあまり知らない人から見れば、ただのコンパクトカーが2リッター並の動力性能があるとは思わないでしょう。下手に煽ると危険なクルマでした。しかし、当時はMTではなく、6速スポーツモード付きCVTのみの構成。この点で、ライバルのヴィッツRSには劣っていたと言えるでしょう。
当然エボのようにMTを追加してくれとの声もあがってきます。そこでついに登場するのがVersion-Rです。
コルトRALLIART Version-Rの登場
2006年5月、ついにRALLART Version-Rが発売されました。ランエボの弟分として、エボで培った技術をふんだんに取り入れています。
写真は後期型。
エンジン
エンジンこそ4G15 1.5L MIVECターボエンジンと同じですが、後期型ではインタークーラーパイプの形状見直しにより163ps/6000rpm、21.4kgm/3500rpmまで出力アップ(MTのみ)しています。これは当時の国産コンパクトカーとしては最高のパワーです。
足回り
ゴールデンステアリングホイール賞を獲得した欧州コルトターボの足回りをベースに、国内向けにファインチューンされています。減衰力の最適化、各種アーム類のねじり剛性を高め、カッチリとした足回りとなっています。
ブレーキは4輪ディスクブレーキを採用。特にフロントは逆ベンチレーテッドディスクとなっていて、冷却性が高く、信頼性の高いブレーキです。
タイヤはついに16インチ化され、出荷状態のタイヤはアドバンネオバ205/45R16が奢られています。
ボディ
一番の目玉。1.5倍にも及ぶスポット溶接の増打ちをはじめ、サスペンション取付部や、リヤゲート開口部など、ボディ各所に補強がなされています。
↑ドア開口部のウェザーストリップをめくると、丸い跡が見えます。これがスポット溶接増打ち箇所。
エクステリア
まるでランエボ(同時期に出たのはIX。)を意識させるボンネットエアダクトや、幅広タイヤを収めるためのオーバーフェンダーなど迫力は満点で、やる気にさせてくれる見た目です。
しかしこのオーバーフェンダー、どうせ付けるならタイヤをもっとツライチに近づけて欲しかった…。純正だとかなり引っ込んでいて、まるで電車です。
車高を下げると余計に目立ちます……。
タイヤを太くするか、スペーサーを入れるとカッコよくなりますヨ。
インテリア
エボIX譲りのシフトノブやアルミペダル、オプションのレカロシートで納得の装備です。MT車は240km/hスケールのスピードメーターを装備。
反面、収納スペースが少ない。(CVT車のドリンクホルダーは何故か6本分と多い謎)
基本設計が2000年初頭なので仕方がないですね。
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さらに進化!Version-R "Special"の登場!
2008年5月、更にボディ剛性を高めたSpecialが300台限定で発売されます。これは従来の点溶接であるスポット溶接から、線溶接である連続シーム溶接とし、約10%の剛性アップを実現しています。専用のボディカラーであるライトニングブルーマイカが羨ましいモデルです。あまりの人気ぶりに、2010年に再販されるほどでした。
そして生産終了…後継車は無し!
コルトの生産終了と同時に、Version-Rの生産も終了します。
Version-Rの後継車に当たるモデルがまた出てくれればいいのですが、今の三菱だとそうカンタンにいきそうにはありません。つまり、三菱で乗り換える車がないのです。
このままだとスイフトスポーツに浮気ですか?
ミラージュにターボを載せる話は無くなった…??
コルトラリーアートVersion-Rの良いトコロ・悪いトコロ
良いトコロ
低速トルクが豊富でパワーが有り余る
CVTでも154PSあるので、ちょっと踏み込めばあっという間にものすごいスピードに到達します。高速道路の合流も余裕だし、一般道でもあまり踏み込まなくても流れをリード出来ちゃいます。
ランエボみたいなエクステリア
これは評価が別れる所ですが、個人的には◯。ボンネットのいかにもなエアアウトレットや、中身がスケスケのフロントグリルといった「ランエボ」っぽさが大好きです。
維持費が安い
体感で2リッター以上の動力性能がありますが、1.5Lの税金で済むのはお得感があります。
燃費が思ったより良い
街乗りでも13~14km/Lは出ています。長距離ドライブ(一般道、峠も走る)に行くと17~18km/Lにもなり、ターボの割には燃費が良いです。
悪いトコロ
静粛性は殆ど無い
こういう車に求められるモノでは無いですが、静かに走りたい時はどうしてもロードノイズが目立ちます。道路のアスファルトの荒れ具合が凄く分かりやすい。タイヤを変えれば幾らかマシにはなると思います。
社外ホイールの選択肢が凄く少ない
Version-Rオーナー悩みのタネです。PCD114.3の4穴という規格のホイールがなかなか見つからないのです。せめて5穴にしてくれれば一転して大量のホイールが選び放題になったのですが…。
諦めて純正ホイールを前期後期、1セットずつ用意して使っています。
コルトラリーアートVersion-Rの前期型、後期型の違い
コストカットを推し進めるM社長等の影響でしょうか、マイナーチェンジで省かれた部品やダウングレード品が存在します。
ボンネットフード内のウェザーストリップが短くなった、省かれた
最初の写真が前期型仕様、次が後期型です。
後期型ではボンネット裏についているゴム製のウェザーストリップが短くなり、エアインテーク周辺部のみになってしまっています。なんという地味なコストカット。性能への影響はないのでしょうが、代わりにエンジンルーム内が非常に汚れやすくなってしまいます。赤いヘッドカバーがすぐに埃だらけに…。後期型でも部品はポン付け可能なのでぜひ。おまけとしてボンネット閉めるときの音がボフっといい感じの音になります。
ちなみにダクトに貼っているアルミテープはオーバークール対策です。
ラジエーターとコンデンサー前の導風板削除
フロントフェンダー内の吸音材の削除
コルトRALLIART Version-Rのスペック
型式
CBA-Z27AG
エンジン
- エンジン型式 4G15 MIVEC TURBO
- 排気量 1468cc
- ボア・ストローク 75.5×82.4
- 圧縮比 9.0
- 使用ガソリン ハイオク
- 最高出力 163ps/6000rpm(5MT)
- 最大トルク 21.4kgm/3500rpm(5MT)
燃費
15.4km/L(10・15モード)
駆動方式
FF
トランスミッション
5MT or CVT
ブレーキ
- F ベンチレーテッドディスク(逆ベンチ仕様)
- R ソリッドディスク
タイヤサイズ
205/45R16
車両寸法
- 車両重量=1110kg
- 高さ=1535mm
- 幅=1695mm
- 長さ=3925mm
- ホイールベース=2500mm
- 最小回転半径=5.4m